「人間の付加価値」退職したら中元歳暮が来なくなる理由

「生存」「思考」「真価」という3つの原点に付加される価値が、終生のうち、失われるかもしれない不安定な価値である「付加価値」です。巷では、付加価値を含めて、その人の「人間の価値」と総称しています。

■退職したら中元歳暮が来なくなる理由

たとえば、国会議員であること。在職中は先生ですが、選挙に落ちりゃタダの人。

社長職にしたって、倒産したら無職ですから、付加価値。部長職も然り。

金持ちであることも、豪邸に住んでいることも、人気者であることも、官僚であることも、有名企業の社員であることも全て付加価値です。日本を代表する世界的な企業へ入社すれば、

「あの大企業に入社するなんて、すごいねえ!」

と評されます。確かに、入社したのは当の本人に違いありません。が、大企業の看板が後光になっているに過ぎず、本人の人間性が認められているわけではありませんから、会社を辞めれば露と消える儚(はかな)い付加価値です。

それであっても、大企業の一員であることを認められた本人は喜びますし、それが真価であるように錯覚してしまう人もいます。よく、

「退職したら、中元歳暮はおろか、年賀状さえ来なくなった」

と言われるのは、会社名や役職における付加価値が認められていたのであって、人間性としての価値が認められていたわけではなかった証拠。

付加価値は、ルイヴィトンの鞄と同じく、ブランドなのです。そのブランドが、鞄という本質を凌駕(りょうが)することも。