あなたを変えるストロークの法則

プラスのストロークは、もともと、心理学の中の、交流分析トランザクション・アナリシス)という分野の中の、ストローク理論に登場する専門用語で、1650年代に米国のエリック・バーン博士が唱え、クロード・スタイナー博士らが発展させ、今では主に、カウンセリングや心理療法に活用されています。その道のプロが扱う専門分野なんですね。

そこへいくと筆者は、心理学者でもカンセラーでもありませんので、心理学としてのストローク理論について詳しくありません。実際、かの有名なフロイトを心理学者だと思い違えていましたし、分析心理学の祖であるユングファーストネームすら知りません。

なので、ストローク理論を含む交流分析の専門書を期待なさっているとしたら、正しい専門の良書が他に沢山ありますので、そちらを御覧になるようお勧めします。

心理学のプロではありませんが、私は、製品やサービスを通して人を(お客さんを、取引先を、従業員を)動かす技術としてのマーケティング論を唱えており、その理論を説いた拙著は韓国でも出版されていますが、マーケティングで人を動かすには限界がありました。日本や韓国などの成熟社会には、マーケティングでは解決できない、マーケティング以前の問題があったのです。

その多くは、精神論として片付けられており、うまくいく人は「日ごろの行いが違う」と称えられ、何をやっても失敗する人は「根性がない」と罵(ののし)られ、じつに曖昧に処理されてきました。

ところが実は、精神論でも運命論でもありませんでした。うまくいかない人は、マーケティング云々の前に、自分と他人を肯定する言動をおこさなければ、いつまで経ってもうまくいかないようになっていたのです。それが、マーケティング以前の問題を探究している最中に出会った「ストロークの法則」でした。

試しに、周りを見渡して御覧なさい?
うまくいかない人は「どうせダメだ」とハナから諦めてしまい、いつの間にか自分へ「どうせダメな人間なんだ」と、マイナスのストロークを送ってませんか?
はて?自分を否定して、どうして幸せになれましょう。マイナスのストロークを唱える人に、幸せは訪れないようになっているのです。

では、どうしたら良いのでしょうか?もちろん、まずは自分を変えることです。しかし、どうやって?怪しい宗教に入信する?啓蒙セミナーに参加する?霊能者に相談する?

そんな必要はありません。誰でも、いつでも、どこでも、一円もかけず、簡単に自分を変えられる方法が一つだけあります。それが、プラスのストロークです。

たとえば、男女の交際は、好きな異性へ「好き」と告白することから始まりますね?この告白がプラスのストロークです。
プラスのストロークは、好きな人と交際できる幸せを運んできてくれます。逆に、プラスのストロークを唱えないと、幸せはやってきません。どちらかが先に告白しなければ、いつまで経っても交際は始まりませんね?

告白して、たとえ「ごめん」と断られることはあっても、よっぽど性悪な相手でもない限り、「好きじゃない。むしろ、嫌い」というマイナスのストロークが返って来ることはない。仮に、そういう目に遭ったら、性悪な性格を見抜けずに好きになった、自分の人物眼を改めちゃいましょう。

プラスのストロークは、ビジネスにも当てはまります。よく、
「雄弁な営業マンが、優秀であるとは限らない。営業マンは、むしろ、寡黙であれ」
と言われるのは、「しゃべるな」ということではありません。しゃべるより先に「相手の話を聴け」ということです。聴くのもプラスのストローク

なぜなら、相手の話に耳を傾ける行為自体が、相手の主張を認める態度になっているので、相手は、口にこそ出さないまでも、
「話を聴いてくれてサンキュー。今度は、そちらの主張も聞こう」
となって、交渉が上手く行くわけです。

夫婦間や親子間も然り。
話を聞く行為が、相手を認める行為になるため、とりたてて伴侶と会話しなくとも、時どき相槌を打ちながら、相手の話に耳を傾けるだけで、夫婦関係は上手くいきます。子供の話に耳を傾けるだけで、子供は「認められている」と納得します。相手を認めるプラスのストロークが「愛情を注ぐ」具体的な方法の一つなのです。

人体の維持に衣食住が必要不可欠であるように、人間性の維持には、自他から認められるプラスのストロークが必要不可欠なのですよ。